昔の別の日記をこちらに持ってくる「広告マーケティング21の原則」

むかし書いたのが力作でもったいないからこっちにマージすることにする。グループkeywordだから*のマークがひとつ足りなくてちょっとめんどくさい。
あと3つくらいつづける。とりあえずこれ。

「広告マーケティング21の原則」を読む。(09/06/21)

広告マーケティング21の原則

広告マーケティング21の原則


この人は、それほど実は最近の広告圏(というのがあるのか)からは注目されていなかった。
オグルビーがすごいっていう人→神、だから見とけ。という図式。

概要

  • 原則は普遍。80年前と現代と時代背景は違うけれど。
  • 「広告はセールスマンシップである」

気になったところ

原則2 セールスマンシップ
  • 本書で最も重要な原則をあげるとすれば、セールスマンシップに関する原則だろう。広告が失敗する最大の理由は消費者が求めてもいない商品を売ることだ。しかし二番目の理由は、本物のセールスマンシップの欠如にある。
  • 今日でも見当はずれの概念に基づいて企画され、作成された広告はある。こうした広告は広告主を喜ばせるために書かれており、買い手の利益は忘れられている。こうした態度が存在する限り、対面販売であろうと広告であろうと、商品を売り、利益をあげることはできない。
原則4 通販広告の教訓
  • 広告業界で働く者にとって、最も過酷な試験は通信販売で商品を売ることだ。しかし、広告業界での成功を願うなら、これは卒業しておかなければならない学校でもある。
原則5 癒し
  • 広告は数百万人の目にさらされるが、関心を引くべき相手はその一部にすぎない。
原則6 人間の心理
  • 人間の性質には普遍性がある。ほとんどの面で、人間の性質は現代もシーザーの時代と同じだ。心理の原則が確立されており、かわる事はない。人間の性質について学んだ事は死ぬまで学び直す必要はない。
  • 顧客や見込み客にメモ帳などのちょっとしたプレゼントを贈る企業は多い。しかし、そうした贈り物が売り上げに繋がる事はほとんどない。
    • ある企業は見込み客に、名入れ済みの革装のノートを用意したと伝える手紙を送った。ノートは既に完成されており、要望があればいつでも送る事ができた。手紙には申込書が同封されていた。申込書にはいくつかの情報を記載するようになっていた。この情報があれば、企業は見込み客が興味を持つ可能性のある商品を知る事ができた。すると、ほとんどの人がすべての項目に記入した上で申込書を返送した。人間は自分専用のもの、つまり自分の名前が入ったものがあることを知ると、それがどんなにつまらないものでも手に入れようとする。
  • 人間の心理にはさまざまな側面がある。それを直感的に知っている人もいる。経験を通じて学ぶ人も多い。しかし、広告人はその大半を他人の経験から学ぶ。他人が成功した方法を書とめ同じような状況が来たときに利用する。これは非常に重要なポイントだ。同じ商品でも、提示の方法が違えば、反応には何倍もの開きが出る。広告に携わる者は過去の事例を探り、何らかの方法で最善の方法を見つけださなければならない。
原則9 イラスト
  • 奇抜なイラストは企業に大きな損害を与える事もある。おどけた仕草は注目を集めるかもしれないが、見込み客は去っていくだろう。
  • 読み手の関心を引いたり、笑わせたり、注意を引いたりするためだけに何かをするべきではない。それは広告の仕事ではない。広告は最小限のコストで見込み客を獲得する事に専念すべきである。
原則10 高くつくアイデア
  • 消費者の習慣をかえるためには莫大なコストがかかる。消費者の習慣をかえる事が前提となるようなプロジェクトは慎重に検討しなくてはならない。
  • 一社の努力でビタミンや殺菌剤の価値を啓蒙する事はできない。啓蒙は専門家の仕事であり、広告ではなく、記事を通して行われる。啓蒙された消費者は新しいニーズを持つようになる。このニーズに応える事で企業は大きな成功をおさめてきた。
原則11 情報の重要性
  • 歯磨き粉の広告を手がけたときも退屈な専門書を読みあさった。このうちの一冊がすばらしいアイデアを与えてくれた。このアイデアは歯磨き粉メーカーに数百万ドルをもらたし、キャンペーンは広告史に残る大成功をおさめた。
  • 広告の現場を知らない人は、ひとつの広告を作成するためにこれほど多くの作業が行われていることに驚くかもしれない。広告はとても単純なものに見える。実際、庶民の心をつかむためには広告は単純なものでなければならない。しかし、その背景には大量のデータ、膨大な資料、そして数ヶ月に及ぶ研究が存在する事もあるのだ。
この業界に怠惰な人間の居場所はない。

原則12 戦略

  • 行き当たりばったりの行動ではシェアは奪えない。消費者をひとくくりにして、むやみやたらと宣伝文句を唱えても支持は得られない。一人の消費者、競合商品を使っている平均的な消費者を思い浮かべよう。
  • 準備をせずに実行された広告キャンペーンは、ゴミ箱に注ぎ込む滝のようなものだ。勢いはあっても効果ははない。われわれは戦力を結集し、すべてのエネルギーを有意義な方向に向けなければならない。
原則13 サンプルの使用
  • 商品はそれ自体が最良のセールスマンであるべきだ。ここには商品そのものだけでなく、商品の印象や、それが醸し出す雰囲気も含まれる。だからこそサンプルには大きな意味がある。サンプルはコストはかかるが、通常は最も安価に商品を売る方法となる。広告キャンペーンでサンプルを使用しないということは、セールスマンが見本を持たずに営業に出るようなものだ。
  • サンプルを有料にすると、サンプルの請求率は著しく下がる。広告に「無料」という言葉をつかうこともできない。
  • 「無料」という言葉は通常、サンプルのコストを上回る利益をもたらす。
  • 見込み客が顧客になるまでは、たとえ正規の半額であろうと消費者に金を出させる事は難しい。
原則14 流通の確保
  • どんな方法をつかうにせよ、流通を確保する前に広告を始めるのはやめよう。コストのかかりすぎる方法や、長い時間を要する前時代的な方法も使うべきではない。時間の浪費は販売コストに深刻な影響を及ぼす可能性がある。
流通15 テストキャンペーン
  • プロジェクトはまずは小さい規模で実施し、その結果から平均を割り出す。この平均は常に正しい。コスト、売上高、損失、または利益が明らかになる。
原則16 販売店との関係
  • ほとんどの商品は一度売れただけではあまり意味がない。重要なのは固定客を獲得することだ。広告を読み、納得して商品を購入した買い手は固定客になる確率が高い。他人に勧められて何気なく商品を購入した客は定着しない事が多い。次には別の誰かが別の商品を勧めるだろう。
  • 広告プロジェクトは販売店の助けでなく、このようなかたちで発展する。広告人は自分の力で商品を売り、自分の力で成功をつかみとらなくてはならない。広告が生み出した注文を販売店がつつがなく処理したら、それでよしとしよう。無駄をなくそう。すべての武器は、それが最も効果を発揮する場所で利用するべきである。
原則17 個性
  • 利益をあげている広告は広告のトーンをかえないために多大な努力を払っている。多くの顧客を獲得した広告は、新しい顧客を獲得する際にも最良の方法となることが多い。企業の認知度は徐々に高まる。新しい広告を作成する際は、新しいイメージをつくるのではなく、既存のイメージを強化するようにする。人間は名前だけではなく、見た目や癖によって相手を記憶している。毎回異なる出で立ちで登場する相手とは、いつまでたっても信頼関係を築く事はできない。
原則18 ネガティブ広告
  • 物事の暗く、鬱々とした側面ではなく、明るく、幸福で、魅力的な側面を描こう。凡人ではなく美女を、病人ではなく健康な人物を見せよう。
原則19 ダイレクトメール
  • 高級な便せんが質素な便せん以上の効果をもたらすこともない。問題は中身にある。
  • 高級な便せんや豪華なパンフレットは効果を減じる事がわかっている。買い手にとってのメリットより、別の商品を売り込もうとする意図がすけてみえるからだ。これはダイレクトメールでも広告でもかわらない。

感想

  • 原理原則を唱えていて、それなりに役立つ、というかオールドビジネスにおいてはバイブルかもしれない。
  • 問題は、「広告」ビジネスのルールや、生活者がかわりすぎてしまった事にあると思う。
  • この本でも注釈がつきまくっていて、現在は〜と著者が捕捉する箇所が多い。それは、もうこの本自体から学ぶ事が、相対的にその時代よりも減ってしまったことだと思う。
  • ウェブ時代をゆく」でいう「一身にして二世を生きる」という事実を忘れて読んではいけない。良書にも悪書にもなり得ると思う。

終わり