ある広告人の告白(見習いですけどね)

広告界の巨人と言われる人に、デイビット・オグルビーという人がいます。
年代的に、私などよりも年配の広告人から支持された人で、彼がつくった
広告会社「Ogilvy&Mather」は世界のトップ広告会社のひとつとなっています。
彼の書いた本は広告業界ではバイブルとなっていて「売る広告」という
そのものズバリの本とかあります。


最近、復刻した「ある広告人の告白」というのは、広告業界に限らず、
ビジネス書としても相当に面白いものです。オグルビーのそもそもの生い立ちが
面白かったり、クライアントに対しても、はっきりともの申すオグルビーという人の
相当な広告ビジネスへのプライドが見えたりします。

ある広告人の告白[新版]

ある広告人の告白[新版]



タイトルに書いたので本を紹介したものの、紹介したかったのはこの方のブログです。
ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね)


本へのオマージュ、ということでブログのタイトルにされていらっしゃるようですね。
「したたか」でいこうぜ。: ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね)
このエントリ、すべてを通して読んでいただければと思いますが、一部引用。

 「したたか」でいてほしいのです。自分の未来に対して「したたか」でいてほしいのです。「こずるく」生き抜く才能がなかったあなただからこそ、「したたか」さが必要なのです。


 本当にやりたいことは何ですか。あなたが今やれることは何ですか。やりたいこととやれることのバランスはどうですか。冷徹に自分を見つめてください。生きていくことも重要です。縮小していく業界で、これからもきちんと楽しく食っていく自信がありますか。そこまで追いつめて考えられたら、可能性はかなり広がっているはずです。



広告業界に比較的長くいたので、拝見していたブログなのですが、これから新卒で広告業界を目指す方ですとか、まだ数年という方に見ていただきたい内容だなと思いました。辛辣な内容なんですけどね。


広告業界というのは、これまでになく変化しています。メディアの変化、伴う情報過剰、社会の成熟化…。
みんな広告なんかにかまってられない、というのは言い古されていますが事実だし、コミュニケーションビジネスがこれまでになく難しい局面にあると思います。


それでも、広告業とか、人にものを伝えるということは、仕事とするに値する仕事だと個人的には思います。
自分もそうですが、あまり人におせっかいをかけてもらいたくない、という風潮がどんどん強まっているのだけど、それで閉じてしまって、新しい事を知らないでいる、ということも言えるのだと思います。
おおげさに言えば、可能性の目を摘んでしまっているというか。


だけど、知る事で生活を豊かにすることができるものは、豊かになったご時世だけど、まだまだあると思うし、はてなのサービスもそうだと思って入社しました。広告というのは、おせっかいだけど、ちょっと振り向いてもらって、試してもらったりすると、「おおなかなか便利じゃん」ってなったりする。


私が尊敬するクリエーティブ・ディレクターの山本高史さんは、
「今まで相対的に不幸だった人にベネフィットを約束することが広告の一番の、唯一の価値です。」
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200806/06creat.php/
と言っています。


広告(的行為)は、相手をそれまでより幸せにするベネフィットを与えないといけないってことなんですね。
広告会社でなくとも、いち企業のマーケティング担当でも心がけることなんだなと思います。


mb101boldさんの、未来への不安には逃げずに対峙しよう、という内容に対して、高史さんがつくった
トヨタカローラの広告のコピー「変われるって、ドキドキ」を、僕は提示したいと思います。
広告が作られた2001年とかに比べて、相当にシビアな社会の空気だなという気が、短い社会人人生でも感じるのですけど、変われることのワクワク感ってのはあるはずで、そういうポジティヴィティを人間は欲すると信じたいです。


そういう空気を社会に与える存在にはてながなっていく一翼を担えたらと思うし、願わくば、こういった、骨太なメッセージのコピーでもって、世の中に価値を提示してみたい、という気がしますね。
山本高史さんの本、既にベストセラーですけど、コミュニケーションを仕事にしている人とか、そうでなくても、単純にひととひととの豊かな関係を築きたい人にも示唆がある本だと思いますので、ご推薦、です。



こんな過激!な本も書いちゃってもう、な人でもありますけど。
ボク キキイッパツ

ボク キキイッパツ